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★企業情報化
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今回は、別冊3号ということで、別冊2号に続き、企業における情報化続編について述べて見たい。
別冊2号では、企業目的、情報化の目的、情報化によるコスト削減などについて述べた。
別冊3号では、情報化により、売上の増大にどう結びつけるか。
これは、非常に難しい要素である。コンピューターによって売上が増大したのか、
人間によってなのかが判別できないことが多い。
社内のデータが蓄積してくると、どの分野の商品やサービスが伸びているか、落ちているかが、傾向として判断できる。長いスパンでの傾向が重要である。
傾向により、将来予測が立つと、その分野へ営業マンを増やしたり、広告宣伝を行うなど、積極的な投資を行うことができる。積極的な投資により、他社に一歩でもさきがけることが将来のシェア獲得に不可欠である。その分野、その地域など限定すれば、シェア一位とシェア二位では、利益率は大きな差があるといわれる。
シェア獲得ができると市場での競争が有利になり、結果として売上の増大に情報化が貢献している図式が成り立つ。しかしながら、意思決定には、トップの判断が必要となるが、その判断材料を出力する情報システムの構築が必要となる。
意思決定支援システムと呼ばれるものである。
逆に、売上の増大とはいえないが、市場からの撤退についても、支援してくれる。
しかしながら、正確なデータがいくらあっても、トップがそれを見る目がないと意味をなさない。情報化により、売上が増大したのか、人間の判断により増大したのかが判別できないと言われる所以である。
最近では、インターネットの普及によりホームページを通じての通信販売などが盛んである。この分野での売上増大を期待するには、小売店が中心となろう。
卸売やメーカーの直販なども多くなってきているが、現時点では、小売店に遠慮してしまうので大々的にはできない。近い将来、流通コストの削減、消費者利益還元などの名目で直販市場は急速に拡大すると見られる。
農産物の産地直送商法なども増えるであろう。
インターネット通販は、今のところそんなに大きな市場ではないが、近い将来、決済方法などのインフラが整備されてくると、無視できない市場である。
その時になってからでは遅いと断言できる。ホームページの作成技術やプロモーションは、身につけるのに時間がかかる。どんな新規事業でもそうだが、人よりさきがけることが、必要に思われる。後発の場合、よほどアイデアがないと、もしくは、よほど先発隊に比べて、価格優位性を持たないと難しい。
アメリカでは、既にamazon.comなどはインターネット通販で毎年売上を伸ばし、優位に立っている。他の追随した企業は、なかなか追いつけない。日本でも近い将来、市場拡大が予想される。
また、インターネットでは、情報販売という分野が今後伸びていくであろう。
契約書や日常使う文書の書式販売やノウハウ書の販売である。小額の決済には、まだまだインフラ整備ができていないが、それを構築しようといろいろなシステムがTRYandERRORを繰り返している。そんなインフラが構築されると、上記のようなビジネスが展開できる。業種特有の書式などは、早い時期に立ち上げるのが有利であろう。
その他に日本では、まぐまぐというメール配信システムを先駆として開発した企業が売上を伸ばしている。収益源は、広告料である。それに追随して当メールの配信システムでもあるクリックインカムは、独自の広告手法(クリック保証)で急成長しているに違いない。この辺のインフラを構築するのは、ベンチャーやSOHOの専売特許かもしれない。
最後に、昔のアメリカで起こった情報を武器にした売上増大戦略を例として挙げて見る。参考にして頂きたい。
当時、電算機の価格は高くどの会社でもなかなか手が出ない代物であった。
しかしながら、広大な国土を持つアメリカでは、足とも言える航空業界において熾烈な競争が繰り広げられていた。中でも、A航空は、実に巧みな情報化戦略により、他の航空会社をに差をつけた。
開発したシステムは、予約受付システムである。今でこそどこでもやっていることだが、当時としては、A社は他社に先駆けて行った。旅行代理店に端末を無料設置し、航空券手配をしにくるお客様に対してのサービスを瞬時に行った。
当時、他の航空会社の切符を買うには、2度(申し込み時と航空券受取時)代理店に足を運ぶ必要があった。それに比べ、A社のシステムでは、その場で座席照会と発券ができるので、お客様は、当然そちらを選ぶようになった。
そのため、いつも満席状態が続き、売上は増大したのはいうまでもない。
その後の話がある。他の会社は、そのシステムを有償で利用させて欲しい、とA社に要望してきた。自由競争アメリカでは、回答は当然NOと思っていた。
しかしながら、A社はOKした。どのようなことを画策したか。
発券業務としての機能提供は行った。その代償として、他社からの情報システム費用をいただいた。しかしながら、同じ路線での同じ時間帯では、A社の空席を一番上に表示する並び替えを行った。当然の結果として、自分の会社の空席から順番に売れていく。このしくみにより、座席販売売上の上に情報システム使用料が加算され、売上を伸ばした。この当時の情報システム使用料は、半端な額ではない。
その後、このことが問題になり、並び替えの機能をはずすように圧力がかかったが、当然これは拒否した。他社では、自社で情報システム投資をし、発券業務を行った。代理店には、各社の予約端末が並び、混雑をきたしたそうである。
今は統合されている。
このように上記のような例は、一例でありアイデア次第で情報化により、売上増大に結びつけることが簡単ではないが、可能である。自社業界を見まわして、情報が他社より優位にするものは何かを考えて頂きたい。
情報化は、コスト削減に一番効果が出やすいが、情報により売上増大に結びつけることも可能である。
自社の情報化を再検討してください。ご検討をお祈りします。 |