めざすべき日本の基本理念
「日本よい国構想研究会」の7月17日開催の「サマーフォーラム」で行われた、山田宏杉並区長(当研究会・筆頭特別研究員)の基調講演で発表された「めざすべき日本の基本理念」です。
(講演略)
日本という国が将来にわたって発展していくために、どのような基本理念が必要でしょうか。
やはり第一に、「人間の幸せとは何か」という本質的な命題に根ざすものでなければなりません。そして政治は、それを増進していくものでなければいけません。
第二には、日本の国民が長い歴史のなかで営々と積み重ねてきた「誇るべき大切な価値」に基づくものでなければなりません。どこか他国からの理念の借り物であってはいけません。
そして第三に、これからの世界の流れをしっかり見据えたものでなければなりません。独りよがりの偏狭なものであってはならないと思います。
そのようなことを考えつつ検討してきた「めざすべき日本の基本理念」をここに掲げ、もって今後の議論につなげたいと思います。
〈めざすべき日本の基本理念〉
わが国は長い歴史を通して、国の象徴たる天皇のもと、豊かな文明を築き上げてきた。
先祖を敬い、家族を大切にし、自然を畏れ、清く明るく正しく直い心を重んじた先人たちの歩みにより、日本ならではの自然観、倫理観、宗教観が形づくられてきた。また、いにしえより「言霊の幸う国」と語り継がれてきたことが示すように、豊かな言葉と感性によって多様で優れた文化芸術が生み出され、守り伝えられてきた。
さらにわが国は、諸外国の優れた文物を積極的に受け入れ、広く世界の衆知を集めることにより、つねに自らを高める努力を積み重ねてきた。
わたしたちの願いは、この歴史と文明を受け継ぐものとして、物心両面で豊かな国を築き、自らの知恵と力でこれを守り、美しく豊かで平和な日本を幾久しく次代へ受け渡し、そして、この日本の力を世界の安寧のために役立てていくことにある。
わたしたちは「ひとの幸う国」をめざす。
わが国の力の源は、ここに住まう「ひとの力」にこそあった。道義が栄え、教育が栄え、諸々の技芸が栄え、智恵が豊かにあふれる国。人びとが自由のうちに自らの天分を追求し、実現させていくことができる国。万機を公論に決する民主主義の伝統を堅持し、国民がお互いの知恵を持ち寄って進むべき道を切り拓いてゆく国。それがわが国のあるべき姿である。
またわたしたちは、これらの諸価値を重んずる諸国民と手を携え、より広く「ひとの幸う世界」をつくりあげることに貢献していきたい。
わたしたちは「いのちの幸う国」をめざす。
日本人は、この豊かな自然の生きとし生けるものと共に生きる精神を培ってきた。この叡智を生かし、わたしたち各々のいのちを相互に尊重するとともに、かけがえのない地球のいのちを守っていくことこそ、わたしたちの崇高なる使命である。
わたしたちは「和の幸う国」をめざす。
日本書紀がいまに伝える「憲法十七条」が、「和を以て貴しとなす」の一文からはじまるように、いにしえよりわたしたちは、「和」の精神を重んじてきた。わたしたちは、これからも和を貴ぶ国であることを誓い、また、この精神のもと、和の先導者として国際平和の実現に力を尽くすことを誓う。
これらの願いを、日本の基本理念としてここに提唱したい。
■目 次
■はじめに 人間観・国家観・歴史観の大切さ
■第一章 人間の幸せを考える
自分の力を出しきれたときの喜び/すべての存在には、存在する意味がある
「天分」は他者のために活かしてこそ輝く/誇りをもって、自分の天分を活かしきること
■第二章「自由」と「責任」と「相互尊重」
人間を人間たらしめているのは「自由」/「公正な市場」こそが自由の礎
正しい「責任」意識が「誇り」の源泉/「礼儀と慈しみ」をもって各々の天分を追求する
■第三章 誇るべき国、日本
世界からの評価と日本人自身の評価/天皇あればこそ成立した「一国一文明」
「積み重ねられてきた歴史の重み」の幸せ/「家」を大切にし、先祖を敬う心
真実の豊かさを知るものの強み/先人の見事な生き様に誇りをもとう
文明の大きな転換点に/まず自らが一灯を掲げよう/日本人としての「幸福なる使命」
■第四章 なぜ「私たちの幸福」が実現されないのか
幸せを妨げているもの/「歴史」とのつながりの回復…かけがえのない「家」を見直そう
歴史の真実から卑屈に逃げてはいけない/日本の精神的財産を誇れるか
国家あっての国民、国民あっての国家/自分たちの国は自分たちでつくり、自らの力で守る
政治の無策が国を危うくするとき/疲労しきった現在の政治制度/国家百年の大計を
■第五章 「豊かで、楽しく、力強い国」となるために
人の幸う国、いのちの幸う国、和の幸う国
●「新しい国のかたち」をつくる
●「減税・繁栄国家」構想
●「いのちの大国」構想
■解説にかえて 回天への道すじ 中田 宏
■めざすべき日本の基本理念
『「日本よい国」構想』の読者からの反響
■「日本よい国」構想は、ページを捲るたびに快哉を叫び、膝を打つことの連続でした。私は山田さんのことをほとんど知りませんし、たった一冊の著作で政治家の資質や実力を推し量ることは危険なことだと思います。しかし、日本国と日本人の誇りを国民が共有するにはどうすればいいのか。国民が幸せになるにはどんな日本であるべきで、国民自身はどうあるべきか。生涯にわたって自問したい衝動にかられる言葉がこの本には詰まっています。 |
清く、美しい国へ。国民とともに、真の国家経営の推進を実現します…「よい国つくろう!」日本国民会議